DXの必要性を理解しているものの、具体的な進め方に迷う企業は少なくありません。
特に中小企業では、DX推進に伴うコストが大きな課題となっています。
そこで本記事では、中小企業のDX担当者を対象に、DX補助金の申請手順や活用のポイントについて解説します。
2024年最新の支援制度の内容をはじめ、申請の具体的な流れや審査で重視されるポイントなど、実践的な情報を提供します。
このように株式会社QEDでは、企業のDX推進活動を行っています。
興味のある方はこちらからご確認下さい。
DXとデジタル化で実現する企業の生産性向上とは
DXとデジタル化による企業の生産性向上について、具体的な施策と期待される効果を解説します。
- 業務プロセスのデジタル化による効率化
- データ活用による意思決定の高度化
- 新しいビジネスモデルの創出
以下の記事でDXについて全般的に解説しているので、まずはこちらをご覧ください。
業務プロセスのデジタル化による効率化
デジタル技術を取り入れた業務プロセスの見直しは、企業の生産性向上を支える重要な要素です。
紙媒体の書類や手作業の業務をデジタル化することで、業務効率が大幅に向上します。
例えば、請求書や売上伝票をデジタル管理することで、情報の検索や分析が迅速かつ簡単になります。
また、申請や承認プロセスをワークフローシステムに移行することで、業務の進行スピードを向上させることが可能です。
さらに、テレワークやフレキシブルな働き方をデジタル化によって実現することで、従業員の満足度や生産性も向上します。
時間や場所の制約を受けない働き方は、特にコロナ禍以降、多くの企業で導入が進められています。
データ活用による意思決定の高度化
デジタル化で収集・蓄積されたデータは、経営判断を向上させる貴重な資源となります。
販売データや顧客データを活用することで、市場の動向を的確に把握し、迅速な意思決定が可能になります。
具体的な事例としては、次のようなデータ活用が挙げられます。
- 需要予測の精度向上により在庫管理を最適化する
- 顧客の購買行動を分析し、マーケティング施策を改善する
- リアルタイムデータを活用し、業務の見直しと効率化を進める
新しいビジネスモデルの創出
DXは業務効率化だけでなく、ビジネスモデルそのものの変革も促します。
デジタル技術を活用した新しい製品やサービスの開発により、新たな市場を切り開き、競争力を高めることが可能です。
例としては、以下のような取り組みが挙げられます。
- 従来の店舗販売からECサイトを利用したオンライン販売へのシフト
- 製品の販売からサブスクリプションモデルへの移行
- IoTやAIを活用した予防保全サービスの提供
これにより、企業は新たな収益源を確保し、従来にはなかった付加価値を顧客に提供できます。
これらの取り組みを通じ、企業は効率性を向上させると同時に、競争力を維持・強化できます。
DXとデジタル化は、現代の企業経営において欠かせない戦略となっています。
注目のDX推進支援制度:補助金・助成制度を徹底解説
2024年におけるDX推進のための主要な支援制度について、代表的な補助金・助成金とその特徴を解説します。
- 代表的なDX推進補助金の概要
- 地域独自の支援制度
- 補助金活用のポイント
代表的なDX推進補助金の概要
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小規模の事業者がITツールを導入する際の支援制度です。
通常枠では補助額が5万円から450万円で、補助率は最大1/2です。
また、インボイス制度対応やセキュリティ対策推進を目的とした特別枠も用意されています。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、製造業を中心とした企業の生産性向上や技術革新を支援します。
デジタル枠では最大1,250万円の補助が受けられ、業務プロセスの改善やデジタル技術を活用した新製品開発に利用可能です。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新分野への進出や業態の転換を目指す企業を支援するための制度です。
DX関連の設備投資や新規事業開発に活用でき、企業の規模に応じて最大7,000万円の補助が可能です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者による販路開拓や業務効率化を支援します。
通常枠では補助額が最大50万円、賃金引上げ枠では200万円まで補助が受けられ、デジタル化を通じた経営改善に利用できます。
地域独自の支援制度
都道府県や市区町村では、それぞれの地域性に応じた独自のDX支援制度が展開されています。
- 東京都のDXリスキリング助成金
デジタル人材を育成するための職業訓練費用を補助し、経費の3分の2(上限64万円)が助成されます。 - 山口県のデジタル人材育成支援補助金
地域企業のDX人材育成を目的とし、短期研修費用の一部を補助します。 - 埼玉県富士見市のDX化支援補助金
市内の中小企業を対象に、DX推進を支援する補助金を提供しています。
補助金活用のポイント
補助金を効果的に利用するためには、事前に計画的な準備が必要です。
補助金は申請後に採択されなければ受給できないため、事業計画を具体的かつ実現可能な内容にすることが求められます。
また、多くの補助金は後払い形式のため、事業実施中の資金計画を適切に立てる必要があります。
さらに、補助金利用後には会計検査院による調査が行われる場合があるため、正確な事務処理と関連資料の保管が重要です。
補助金を選ぶ際は、自社の経営課題やDX推進の目的を明確にし、適切な制度を選択することが重要です。
加えて、申請書類の作成や手続きには専門知識が求められるため、必要に応じて専門家の協力を検討することが推奨されます。
申請前に確認:DX補助金の対象要件と補助対象経費
DX補助金の申請を検討する企業向けに、主な対象条件や補助対象経費について解説します。
- 申請企業に求められる要件
- 補助対象となる経費の範囲
- 補助率と補助金額の詳細
申請企業に求められる要件
DX補助金を申請するには、企業が基本的な条件を満たすことが求められます。
中小企業基本法で定める中小企業や小規模事業者であることが前提条件です。
また、申請時における事業場内の最低賃金が地域別最低賃金以上である必要があります。
事業計画の策定では、3~5年の具体的な計画を立て、認定経営革新等支援機関による確認を受けることが必要です。
計画には、付加価値額の年率平均3.0%以上の向上や、従業員一人当たりの付加価値額向上など、数値目標を盛り込む必要があります。
さらに、経済産業省が公開しているDX推進指標を用いて自己診断を行い、その結果をIPAに提出する必要があります。
また、「SECURITY ACTION」の一つ星または二つ星を宣言することも条件に含まれます。
補助対象となる経費の範囲
補助対象経費は、DX推進に直接関係する支出に限定されます。
具体的には、以下のような経費が該当します。
- ITツール導入費(ソフトウェアやクラウドサービスなど)
- DX関連機器・設備の購入費
- システム構築費用
- デジタル人材育成に関わる研修費用
- 外部専門家によるコンサルティング費用
- セキュリティ対策費用
一方で、一般的な事務用品や消耗品、人件費、旅費交通費などは原則補助対象外です。
また、補助事業の実施に必須と認められない経費も補助対象外となります。
補助率と補助金額の詳細
補助率や補助金額は、申請する補助金の種類や事業規模によって異なります。
代表例は以下の通りです。
IT導入補助金の場合:
- 通常枠:補助率1/2以内、補助額5万円~450万円
- インボイス対応枠:補助率3/4以内、補助額~350万円
ものづくり補助金の場合:
- 通常枠:補助率1/2以内、補助額100万円~1,250万円
- デジタル枠:補助率2/3以内、補助額100万円~1,000万円
事業再構築補助金の場合:
- 通常枠:補助率2/3以内、補助額100万円~8,000万円
- 大規模枠:補助率1/2以内、補助額8,000万円~1億円
補助金は原則として事業完了後に精算払いとして交付されるため、事業期間中の資金繰りには十分注意が必要です。
なお、補助金額は、対象経費の実支出額に補助率を掛けた金額と補助上限額のうち、いずれか低い方が適用されます。
DX補助金の種類と活用のポイント:IT導入からものづくりまで
企業のDXを支援するための多様な補助金について、それぞれの特性と効果的な活用方法を説明します。
- IT導入補助金の特徴と活用法
- ものづくり補助金のデジタル枠
- 事業再構築補助金でのDX推進
IT導入補助金の特徴と活用法
IT導入補助金は、中小企業がデジタル化を進めるための主要な支援制度です。
対象となるITツールは、あらかじめ登録されたものの中から選ぶ必要があります。
2024年度では、通常枠で最大450万円、インボイス対応枠で最大350万円の補助が利用可能です。
効果的な活用のためには、導入するITツールが業務効率化に具体的にどう寄与するかを明示することが鍵となります。
例えば、
- 受発注業務をデジタル化し作業時間を短縮
- 営業効率を高める顧客管理システムの活用
- 経理作業を改善するクラウド会計ソフトの導入
さらに、複数のITツールを組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。
ただし、導入後の運用体制や従業員の教育も考慮する必要があります。
ものづくり補助金のデジタル枠
ものづくり補助金のデジタル枠は、製造業を中心に企業のDX推進を支援する制度です。
生産プロセスのデジタル化や、IoTやAI技術の導入が対象で、最大1,250万円の補助を受けることができます。
効果的な活用のためには以下の点が重要です。
- 生産現場の具体的課題を明確化
- デジタル技術を用いた解決策の具体化
- 導入後の生産性向上目標の設定
申請時には、デジタル化の成果指標を具体的に示すことが重要です。
例えば、生産リードタイム短縮や不良品率の低減を数値で表すと効果的です。
事業再構築補助金でのDX推進
事業再構築補助金は、新たな分野への進出や業態の変更を目指す企業を支援する制度です。
DXを活用した新事業の開発やビジネスモデルの転換において、最大7,000万円の補助を受けられます。
活用ポイントは以下の通りです。
- 市場変化に対応した事業計画の策定
- デジタル技術を活用した新しいサービスの創出
- 既存事業のデジタル化による付加価値向上
単なるデジタル化にとどまらず、事業モデルそのものの変革を示すことが求められます。
例えば、
- 実店舗からEC事業への移行
- データ分析に基づく新サービスの展開
- サブスクリプションモデルの活用
これらの補助金は、企業のデジタル化の進展度や目標に合わせて選択することが重要です。
複数の補助金を組み合わせることで、DX推進の効果をさらに高めることが可能です。
ただし、各補助金の申請条件や期限を慎重に確認し、計画的に準備を進めることが成功の鍵となります。
中小企業・小規模事業者向けDX支援制度の選び方
中小企業や小規模事業者がDXを推進する際に、適切な支援制度を選ぶためのポイントを解説します。
- 企業規模と目的に応じた支援制度の選択
- 地域特有の支援制度の活用法
- 支援制度選択時の注意点
企業規模と目的に応じた支援制度の選択
中小企業向けの支援制度は、企業規模や事業目的に応じて最適なものが異なります。
小規模事業者持続化補助金は、従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者を対象としており、比較的規模の小さなデジタル化に適しています。
IT導入補助金は、規模を問わず中小企業全般が利用可能です。
特に次のような企業に適しています。
- 業務効率化を目指す企業
- 顧客管理システムの導入を検討中の企業
- クラウドサービスの活用を計画している企業
ものづくり補助金は、製造業を中心とする設備投資を支援するもので、生産プロセスのデジタル化やIoT機器の導入を検討している企業に最適です。
地域特有の支援制度の活用法
各都道府県や市区町村では、地域の特性を活かした独自のDX支援制度が提供されています。
これらの制度には次の特徴があります。
- 比較的簡単な申請手続き
- 地域の実情に合わせた支援内容
- 採択率が高め
例として以下の制度が挙げられます。
- 東京都のDXリスキリング助成金
- 山口県のデジタル人材育成支援補助金
- 神戸市の中小企業DX推進支援補助制度
地域の商工会議所や産業振興センターに相談することで、地域特有の支援制度に関する詳しい情報を得ることが可能です。
支援制度選択時の注意点
支援制度を選ぶ際には、以下の点を確認する必要があります。
- 申請要件の確認
- 従業員数や資本金などの基本要件
- 売上高や利益などの財務要件
- 事業計画の策定要件
- 補助金額と自己負担
- 補助率(通常1/2~2/3)
- 補助上限額
- 立替払いが必要か否か
また、複数の支援制度を併用する際には、経費の重複計上ができないことに留意が必要です。
申請から交付までのスケジュールを考慮し、資金繰り計画をしっかりと立てることも重要です。
以下の記事に、最新のスケジュールが記載されているので、ご確認ください。
選択時のチェックポイント
- 自社のDX推進計画と制度との整合性
- 実施時期と申請時期の調整
- 必要書類の準備にかかる期間
- 事務処理体制の整備
これらのポイントを総合的に検討し、自社に最適な支援制度を選ぶことで、効果的なDX推進を実現することができます。
システム導入からデジタル人材育成まで:補助対象となる取り組み
デジタルトランスフォーメーション推進に関連する取り組みと、その補助内容を以下に説明します。
- システム導入に関する補助対象
- 人材育成に関する支援制度
- その他のDX関連補助対象
システム導入に関する補助対象
システム導入を対象とした補助金は、企業のデジタル化を促進するための主要な仕組みです。
対象となるシステムには以下が含まれます。
- 基幹システム
- 販売管理システム
- 在庫管理システム
- 生産管理システム
- 会計システム
- クラウドサービス
- グループウェア
- CRMシステム
- プロジェクト管理ツール
- データ分析ツール
これらのシステム導入には、IT導入補助金を活用することが可能です。
補助対象には、ソフトウェアのライセンス費用に加えて、導入時のコンサルティング費用やカスタマイズ費用も含まれます。
人材育成に関する支援制度
デジタル人材育成はDX推進における重要な要素です。
人材開発支援助成金やDXリスキリング助成金といった制度を利用できます。
- 対象となる教育訓練
- プログラミング研修
- データ分析スキル研修
- クラウドサービス活用研修
- セキュリティ対策研修
- 助成対象となる経費
- 外部研修の受講料
- 講師への謝金
- 教材費
- 研修会場費
特に、人材開発支援助成金は、生産性向上を目的とした訓練に対して最大75%の経費助成が受けられ、資格取得支援も対象となります。
その他のDX関連補助対象
システム導入や人材育成以外にも、幅広いDX関連取り組みが補助対象です。
- デジタルマーケティング関連
- ECサイトの構築
- SNSマーケティングツールの導入
- デジタル広告の運用支援
- 業務効率化ツール
- RPA(業務自動化)ツール
- AI・チャットボット
- ペーパーレス化ツール
さらに、テレワーク環境の整備も重要な補助対象となっています。
- テレワーク関連ツール
- リモートアクセスシステム
- Web会議システム
- クラウドストレージ
- セキュリティ対策ツール
これらの取り組みには、事業再構築補助金やものづくり補助金なども活用可能です。
特に、複数の補助金を組み合わせることで、より幅広いDX推進が可能となります。
ただし、補助金を選択し申請する際は、自社の経営戦略とDX推進計画を明確化し、最適な支援制度を選ぶことが求められます。
また、導入後の運用体制の整備や継続的な改善計画の策定も考慮する必要があります。
DX補助金申請の流れと審査のポイント
DX補助金の申請から交付までの手順と、審査において重要視される点について説明します。
- 申請から交付までの主な流れ
- 審査で評価される基準
- 申請時の具体的な準備内容
申請から交付までの主な流れ
DX補助金の申請手順は、次の段階を経て進行します。
事前準備フェーズ:
- 公募要領の確認
- GビズIDの取得
- 事業計画の作成
- 必要書類の準備
申請時には、事業計画書を基軸に以下の書類が求められます。
- 会社の財務諸表
- 納税証明書
- 従業員数の確認書類
- 見積書や発注書
申請後は次の流れで進みます。
- 審査・採択
- 交付申請
- 事業開始
- 実績報告
- 確定検査
- 補助金受領
審査で評価される基準
補助金の審査では、以下の項目が特に重視されます。
事業計画の具体性:
- 現状分析の適切さ
- 目標設定の明瞭さ
- 実行スケジュールの妥当性
- 期待される効果の具体性
DX推進の実現可能性:
- 社内での実施体制
- 技術的な実現性
- 資金計画の合理性
- リスク対策の適切さ
また、次の要素も重要な評価ポイントです。
- 補助事業の必要性
- 費用対効果
- 波及効果や独自性
- 地域経済への貢献度
申請時の具体的な準備内容
申請を成功させるためには、次の準備が不可欠です。
事業計画書の作成:
- 現状の課題を具体的に記載
- DX推進による解決策を明確に説明
- 数値目標を設定
- 実行スケジュールを具体化
また、以下の点に留意する必要があります。
- 補助対象経費の正確な計上
- 見積書の適正な取得
- 資金調達計画の立案
- 証憑書類の整備
特に重要な準備内容は、
- DX推進指標の自己診断の実施
- SECURITY ACTIONへの参加
- 認定経営革新等支援機関との連携
- 経営革新計画の作成
これらをしっかりと準備し、論理的な申請書類を作成することが、採択率を上げる鍵となります。
まとめ
DX補助金は、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する重要な制度です。
補助金の活用には、事前の準備と計画が重要です。
補助金申請の成功には、自社の課題とDX推進の目的を明確にし、具体的な数値目標を設定することが重要です。
また、申請から交付までの時間軸を考慮した資金計画も必要です。
これらの要素を適切に準備することで、DX補助金を効果的に活用できます。
このように株式会社QEDでは、企業のDX推進活動を行っています。
興味のある方はこちらからご確認下さい。