「アプリ開発をしたいけれど、どのくらい費用がかかるかわからない」という方や、
「どのような手法で開発すれば良いかわからない」という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、アプリ開発にかかる費用を、開発手法ごとに解説します。
この記事を読むことで、どの開発手法でアプリ開発をすべきか、どのくらいの費用が必要なのかを知ることができます。
QEDでは、ノーコードを用いたアプリ開発を数多くおこなっておりますので、興味のある方はこちらからご確認ください。
アプリ開発費用の相場
アプリを開発するためにかかる費用は、開発する方法によって異なります。
以下の4つのアプリ開発方法ごとに費用の違いを紹介します。
- 自社の開発部門でアプリ開発する場合
- 完全オーダーメイドでアプリ開発する場合
- テンプレートを使用したアプリ開発する場合
- ノーコードでアプリ開発する場合
自社の開発部門でアプリ開発する場合
自社の開発部門でアプリを開発する場合、費用の相場は4つの開発方法の中でも初期費用が高くなる傾向にあります。
企画からアプリリリースまでの各工程に発生する作業を全て自社で管理しなければならない分、費用が大きくなります。
しかし、開発費用は一度払うだけで、アプリライフサイクル全体を自社で管理することができるため、継続的に費用がかかりません。
自社でアプリを開発する場合、企業のノウハウやビジネスプロセスを反映させたアプリを開発することできます。
また、アプリ開発会社など会社間の認識相違を発生させずに開発を進められます。
自社の開発部門でアプリ開発をする方法は、一時的な費用は大きくなるものの、自由度が高いアプリ開発を行える方法です。
完全オーダーメイドでアプリ開発する場合
完全オーダーメイドでアプリを開発する場合、アプリによりますが、費用の相場は800〜4,000万円となる場合があります。
アプリの企画は自社で行い、その後の工程をアプリ開発会社に依頼して自社とアプリ開発会社で協力して要件定義からリリースまで開発を行っていきます。
自社の役割は、アプリ開発会社が作成した設計書やアプリを検証するというのが主な役割となります。
自社でエンジニアを雇って開発をする必要はないため、自社の開発部門でアプリ開発をする場合より費用を抑えることができます。
完全オーダーメイドでアプリを開発する場合、関係する会社と人員が多くなる分、管理しなけれならないことが多くなりますが、理想的なアプリをできるだけ費用を抑えて開発できる方法です。
テンプレートを使用したアプリ開発する場合
初期費用が100〜500万円、システム更新に20〜50万円かかる場合が多いです。
既存のアプリテンプレートをベースに、足りない機能をオーダーメイドで開発し、アプリを完成させます。
必要な機能が搭載されたアプリテンプレートを使用することで、開発工数を削減できます。
開発費用の相場は、開発費用が追加機能の開発の量に影響されるため幅があります。
追加機能の開発が増えるとトータルの開発費用も増えていきます。
テンプレートを使用するため、自社でアプリ開発する場合や完全オーダーメイドで開発する場合に比べて開発の自由度は落ちます。
大規模開発には不向きですが、追加機能の開発を工夫することで費用を抑えられます。
ノーコードでアプリ開発する場合
ノーコードでアプリ開発する場合、開発費用の相場は初期費用が100〜500万円、システムの更新が月2〜5万円となっています。
ノーコードによるアプリ開発は、ノーコードツールとノーコードツールが稼働するプラットフォームを使用し、プログラムを書かずに既に出来上がった機能をアプリに組み込んで開発をします。
そのため、エンジニアの工数と開発期間を削減でき、他の開発方法よりも開発費用を抑えることができます。
しかし、ノーコードツールの使用料が発生したり、ノーコードツールのメンテナンスやバージョンアップにアプリの運用が影響されたりします。
アプリの要件に合ったノーコードツールを見つけることができれば、開発費用を抑えて理想のアプリを作ることができます。
アプリ開発にかかる費用の内訳
アプリ開発にかかる費用の内訳は以下の5つの項目に分けられます。
- 開発期間とかかる工数
- エンジニアの人件費
- デザイン設計・サーバーの構築費用
- 保守・運用費用
- 機能追加費用
それぞれについて紹介します。
開発期間とかかる工数
アプリ開発の工数は、「開発期間 × 開発に参加するエンジニアの人数」で決まります。
単位は「人月」で表すことが多く、例えば「開発期間1か月、エンジニアの人数3人」であれば工数は「3人月」となります。
開発期間が長いほど、また、参加するエンジニアが多いほど工数が増えます。
この工数は、開発費用を見積もる上で重要な値です。
企画からリリースまでのアプリ開発期間の目安は下記の通りです。
- 長い:10か月以上
- 中:6か月程度
- 短い:3か月程度
アプリを自社開発をしたり、完全オーダーメイドでアプリ開発をする場合、開発するアプリの規模が大きくなります。
開発規模が大きくなるにつれて開発期間が長くなり、参加するエンジニア人数が増えるので工数が増える傾向にあります。
一方、テンプレートやノーコードツールを使った場合、既に完成している機能の開発を省くことができるので、開発期間の短縮と参加するエンジニアの人数削減が可能です。
そのため、自社開発や完全オーダーメイドでアプリ開発をする場合に比べて工数が少ない傾向にあります。
工数を見積もるときは、各工程にどのくらいの期間を割くのか、何人のエンジニアを割り当てるかを考えます。
(例)10か月間のアプリ開発の場合
企画 :期間1か月 × エンジニア2人 =2人月
要件定義:期間1か月 × エンジニア2人 =2人月
設計 :期間2か月 × エンジニア4人 =8人月
製造 :期間3か月 × エンジニア5人 =10人月
テスト :期間3か月 × エンジニア5人 =15人月
合計工数 37人月
このように開発期間とエンジニアの人数をかけ合わせて開発にかかる工数を算出します。
エンジニアの人件費
アプリ開発における費用の大半はエンジニアの人件費が占めます。
エンジニアの人件費は、エンジニアのスキルレベルによって変わります。
スキルレベルによるエンジニアの一か月あたりの人件費の相場は下記の通りです。
- 上級システムエンジニア:100~180万円
- 中級システムエンジニア:90~120万円
- 初級システムエンジニア:70~100万円
- プログラマー(大手企業):50~100万円
- プログラマー(個人):40~70万円
各工程にどのスキルのエンジニアを割り当てるかで費用が変わります。
(例)2か月の設計工程にエンジニアを割り当てる場合
初級システムエンジニア(70万円/月)2人で行うと
70万円 × 2人 × 2か月 = 240万円
上級システムエンジニア(180万円/月)2人で行うと
180万円 × 2人 × 2か月 = 720万円
アプリを自社開発や完全オーダーメイドで開発する場合、開発しなければならない機能の数が多くなり、難易度も高くなるため、より高いスキルを持ったシステムエンジニアやプログラマーが必要です。
一方で、テンプレートやノーコードツールを使用する場合は、ある程度機能が完成しているため、エンジニアのスキルが高くなくてもアプリ開発が可能になります。
アプリ開発に必要なエンジニアのスキルと人数によって人件費が増減します。
エンジニアの単価によって全体の費用が大きく変わります。
各工程の難易度を考慮して、適切なスキルレベルのエンジニアを割り当てる必要があります。
デザイン設計・サーバーの構築費用
アプリのデザイン設計の費用は、アプリの画面やユーザーインターフェース(UI)の設計を行うデザイナーの人件費や、必要に応じて使用するデザインツールやグラフィックスソフトウェアのライセンス費用が含まれます。
また、デザイン設計にあたって、ユーザビリティのテストやフィードバックを得るためのユーザーリサーチ費用も含まれる場合があります。
データベースにデータを蓄積する機能を持つアプリを開発する場合、データベースを運用するサーバーを構築する必要があります。
サーバーを構築するには、アプリ開発エンジニアとは別にサーバー構築を専門としたエンジニアを割り当てる必要があり、その分の人件費がかかります。
また、Windows ServerやLinux ServerなどのOSやSQLServerやOracleDBなどのデータベース用ソフトウェアなどのライセンス料がかかります。
保守・運用費用
アプリをリリースした後、安定稼働させるためのメンテナンスやバグの修正をするための費用が必要です。
サーバーを使用している場合、定期的にセキュリティパッチの適用やデータクレンジングなどの保守作業をしなければなりません。
アプリについてはAndroid、iOSともに定期的にアップデートをするので、アップデート後の環境でアプリが正常に動くのかを調査する必要があります。
アップデート後の環境で正常に動かないことがわかったら、アプリに修正を加える必要があります。
アプリをリリースした後もアプリの安定稼働のために保守・運用費用がかかります。
機能追加費用
アプリのリリース後、新規機能の追加が必要になることがあります。
その際、新規機能の開発のための費用が発生します。
機能追加費用には、新機能の開発のためのエンジニアやデザイナーの人件費やサーバーの拡張、アップグレードにかかる費用が発生します。
新機能の開発にあたって、アプリ開発時に行った工数の見積と同様に、要件定義からリリースの各工程にどれだけの期間と人数を割り当てるかを考える必要があります。
新機能の数や難易度によって機能追加費用は増減します。
以上が、アプリ開発にかかる費用の内訳です。
ただし、各項目の費用はプロジェクトの規模や要件によって異なるため、具体的な費用は、開発会社や担当者に相談する必要があります。
個人でアプリ開発できる?開発費用を安くする方法
続いて、個人でアプリを開発する場合、開発費用を安くする方法は以下4点です。
- 個人でアプリを開発する
- 要件・必要な機能を明確にする
- クラウドでアプリ開発する
- ノーコードでアプリを開発する
個人でアプリを開発する
アプリの開発をアプリ開発会社や、フリーランスのアプリエンジニアなど外部に委託する場合、外注費用が発生します。
しかし、個人でアプリを開発することができれば、外注費用を抑えることができます。
開発スキルを持っている場合や、学習に取り組める余裕がある場合は、自分でアプリを開発することで費用を抑えることができます。
また、開発スキルを持っていない場合でも、アプリ開発を通して開発スキルを習得できます。
開発を進めるにつれて自分でできることが増え、より効率的に開発を進められるようになり、さらに費用を抑えられます。
要件・必要な機能を明確にする
個人でのアプリ開発においては、組織でアプリ開発を行う以上に要件定義を明確にすることが重要です。
要件定義が不明瞭だと、余分な機能を開発してしまったり、後から修正が必要になったりすることがあります。
組織であれば、修正が必要になっても要員を確保し、スケジュールを遅らせることなく開発することが可能です。
しかし、個人の場合は余分な機能の開発や修正が発生すれば、スケジュールに大きな影響が出ます。
そのため、開発前に必要な機能を洗い出し、必要な機能だけを開発することで、費用を抑えることができます。
クラウドでアプリ開発する
個人でサーバーやネットワークなどのインフラストラクチャを用意するのはとても費用と手間が掛かります。
サーバー本体に約10万円、サーバーにインストールするソフトウェアとライセンスで約10万円、ルーターなどの周辺機器で約5万円などとても高額です。
また、サーバーのメンテナンスを個人で行わなければならないので、アプリリリース後も手間がかかります。
そこで、クラウドサービスを利用することで、開発に必要なインフラストラクチャを安く利用することができます。
たとえば、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスを利用することで、サーバーやデータベースなどのインフラストラクチャを使用した分だけの費用しか発生しないため、物理的にインフラストラクチャを用意するよりも低コストで利用することができます。
また、インフラストラクチャのメンテナンスはクラウドサービス側で実施するので、メンテナンスの手間も省けます。
ノーコードでアプリを開発する
ノーコード開発プラットフォームを利用することで、コーディングスキルがなくてもアプリを開発し、開発費用を抑えることができます。
また、コーディングスキルを身につけるための学習期間を省けるため、開発期間を短縮することでコストを削減します。
さらに、企画からリリースまでの期間を短縮することで、アプリユーザーの反応をより早く取得できます。
アプリユーザーの反応をいち早く取得することで、改善や修正に早くとりかかれますので、より良いアプリが最速で提供できます。
ただし、ノーコードで開発する場合、プログラムを自分で書いて開発するよりも自由度が低いため、カスタマイズ性や拡張性には限界があることに注意する必要があります。
以上が、個人でアプリを開発する場合に、開発費用を安くする方法です。
開発費用を抑えつつ、ユーザーにとって価値のあるアプリを開発することができるよう、慎重に計画を立てて開発に取り組んでいきましょう。
アプリ開発にかかる運用・保守コスト
アプリ開発をした後にかかる運用・保守コストの内訳は以下の6項目です。
- 運用・保守費用
- サーバー費用
- SSL証明書費用
- ドメイン費用
- OSアップデート費用
- 不具合・追加機能開発費用
運用・保守費用
アプリをリリースしてから運用・保守を行うには、システム監視、問い合わせ対応、セキュリティ対策、アップデート、バックアップなどの業務が必要です。
これらの業務には人件費が必要であり、また外部業者に依頼する場合はその費用もかかります。
アプリの運用・保守には多くのリソースが必要であるため、事前にコストを見積もり、十分な予算を確保することが重要です。
サーバー費用
アプリを提供するために必要なサーバーのレンタル費用や、クラウドサービスの利用料金が必要になります。
また、サーバーの保守管理にかかる費用も含まれます。
サーバー費用は、アプリの利用者数やアクセス数によって変動するため、事前にトラフィックを予測し、必要なサーバーの規模を検討することが重要です。
SSL証明書費用
アプリとサーバーとの間の通信を暗号化するためにSSL証明書を導入する場合、証明書の購入費用や更新費用がかかります。
SSL証明書は、アプリのセキュリティを確保するために必要なものであり、定期的な更新が必要です。
証明書の種類や期間によって価格は異なるため、事前に適切な証明書を選定し、必要な費用を見積もることが重要です。
ドメイン費用
ドメインは、インターネット上で自分のアプリを特定するための重要な役割を果たしています。
アプリを提供するためのドメインを取得する場合、ドメインの取得費用や更新費用がかかります。
また、ドメインの管理にかかる費用も含まれます。
ドメインの取得費用は、ドメイン名や拡張子によって異なるため、事前に適切なドメインを選定し、必要な費用を見積もることが重要です。
OSアップデート費用
アプリを提供するためのサーバーのOSには、セキュリティアップデートや機能追加のためのアップデートが必要です。
また、AndroidやiOSのOSは定期的にアップデートが行われています。
このアップデートによるアプリへの影響調査や、場合によってはアプリの修正が必要になることもあります。
これらのアップデートには、アプリの影響調査や修正のための人件費や外部業者に依頼する場合の費用が必要です。
アップデートの頻度や必要な作業はアプリやサーバーの規模や使用目的によって異なるため、事前に必要なアップデートを検討し、その費用を見積もることが重要です。
不具合・追加機能開発費用
アプリの利用者からの不具合報告や、追加機能の要望に対応するための開発費用が必要になります。
不具合の原因を特定し修正するためのテストや検証作業、新たな機能の開発やテスト、その他関連する業務には、人件費や外部業者に依頼する場合の費用が必要です。
アプリの運用・保守には、不具合報告や要望に対応するだけでなく、新たな機能の追加や改善も必要になるため、これらの開発費用も予め見積もることが重要です。
アプリの運用・保守には様々な費用がかかりますが、それぞれの費用を適切に見積もり、必要な予算を確保することで、安定した運用やセキュリティ対策、新たな機能追加などの適切な対応が可能になります。
また、定期的な予算の見直しやコスト削減の検討も必要です。
まとめ
アプリ開発の費用の相場や内訳について紹介しました。
アプリの開発方法によって必要なリソースが異なるため、費用が変わります。
また、個人でアプリを開発する場合、自分でアプリを開発することで費用を削減することができます。
さらに、アプリをリリースした後にも追加開発やサーバーメンテナンスなど保守運用のために費用が必要です。
これからアプリ開発をしたいという方は、本記事を参考にして「どんなアプリを作りたいのか、どの開発方法が適しているのか」を考え、理想のアプリを作ってください。