事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、中小企業者等が業績悪化により事業の存続が困難となった場合、事業再構築計画を策定し、それに基づく経営改善を図るために必要な費用を補助する制度です。
この制度によって、事業再構築に必要な資金調達の負担軽減や、専門的なコンサルティング支援を受けることができます。
利用するためには、中小企業者等が「事業再構築計画」を策定し、その計画に基づく経営改善を実行することが条件となります。
具体的には、自己資金を投入し、借入資金の返済計画を策定するなど、自己の財政基盤の整備が求められます。
また、事業再構築計画の策定や実行にあたっては、専門的なコンサルタントの支援を受けることもできます。
第12回事業再構築補助金の概要
第12回事業再構築助成金の詳細について解説します。
まず、第12回事業再構築助成金公募が開始されるのはおおよそ令和5年12月から令和6年1月と想定されます。
応募締切は年度末に合わせ、令和6年3月に設定されるものと想定されます。
なお、もし早期に応募締切が設定された場合、過去の例にならって追加公募・臨時公募が行われる可能性が高いです。
第11回事業再構築補助金の概要
第11回事業再構築補助金の概要について説明します。
最新で、公募が開催された第11回は、以下のような概要です。
公募期間:2023年8月10日〜2023年10月6日
対象者:中小企業等
補助対象費用:事業再構築計画に基づく必要経費
補助率:最大3分の2
補助金を受けるためには、事業再構築計画を策定する必要があります。
そのためには、専門的なコンサルティング支援を受けることが推奨されます。
直近で公募されていた第11回公募のスケジュール
直近で公募されていた、第11回事業再構築補助金の公募スケジュールについて説明します。
以下は、公募のスケジュールです。
2023年8月10日:公募開始
2023年10月6日:申請締切
2023年12〜2024年1月頃:選定結果発表予定
申請に際しては、以下の流れに従う必要があります。
- コンサルティング会社等による事前相談
- 申請書類の作成
- 申請書類の提出
- 選定結果の発表
事前相談については、コンサルティング会社等に相談することで、補助金を受けるための事業再構築計画の策定や申請書類の作成を支援してもらうことが可能です。
また、事前相談を受けたコンサルティング会社等は、申請書類作成時に必要な情報提供を行うこともできます。
過去の公募スケジュール
事業再構築補助金は、毎年度の予算の中で公募されます。
以下は、過去に公募された事業再構築補助金のスケジュールの一覧です。
第1回公募
公募期間:平成26年5月14日〜平成26年6月17日
選定結果発表:平成26年10月10日
第2回公募
公募期間:平成27年6月15日〜平成27年7月14日
選定結果発表:平成27年11月27日
第3回公募
公募期間:平成28年6月13日〜平成28年7月14日
選定結果発表:平成28年12月9日
第4回公募
公募期間:平成29年6月14日〜平成29年7月17日
選定結果発表:平成29年12月13日
第5回公募
公募期間:平成30年6月15日〜平成30年7月16日
選定結果発表:平成30年12月13日
第6回公募
公募期間:令和元年6月14日〜令和元年7月16日
選定結果発表:令和元年12月13日
第7回公募
公募期間:令和2年6月15日〜令和2年7月15日
選定結果発表:令和2年12月15日
第8回公募
公募期間:令和3年6月14日〜令和3年7月15日
選定結果発表:令和3年12月15日
第9回公募
公募期間:令和4年6月14日〜令和4年7月15日
選定結果発表:令和4年12月15日
第10回公募
公募期間:令和5年6月9日〜令和5年6月30日
選定結果発表:令和5年9月22日
事業再構築補助金は毎年公募されていますが、公募期間や選定結果発表の日程は変更される場合があります。
また、申請書類の提出期限や公募スケジュールについては、事業再構築補助金の公式サイトや関係機関のウェブサイトなどで確認することができます。
事業再構築補助金の公募スケジュールは、毎年1回程度の公募が基本ですが、状況によっては臨時公募が行われる場合もあるため、必ず最新情報を確認してから応募するようにしましょう。
主要な申請要件
第11回事業再構築補助金の主要な申請要件は、以下の通りです。
- 中小企業者であること、または個人事業主であること
- 事業再構築計画書を提出すること
- 補助金の使途について、具体的な内容を記載した費用明細書を提出すること
- 財務諸表を提出すること
この補助金を利用することで、中小企業や個人事業主は、経営の立て直しに向けた取り組みを行うことができます。
例えば、業務の多角化やオンライン化、販路の拡大などの取り組みを行い、収益の確保や再度のリスク回避につなげることができます。
また、補助金の範囲内での経費には、コンサルティング費用やIT機器の購入費用、Webサイトの制作費用なども含まれているため、これまで取り組めなかった業務や新しい分野への進出など、事業の拡大に向けた投資を行うことが可能となっています。
ただし、補助金を受け取るには、申請書類の提出や事業再構築計画書の作成など、一定の手続きが必要となります。
補助金の範囲内でしか使えないことや、返済が必要な場合もあるため、十分な検討が必要です。
第11回事業再構築補助金の補助率や補助金額は?
第11回事業再構築補助金の補助率や補助金額については、以下のようになっています。
類型 | 最低賃金枠 | 物価高騰対策・回復再生応援枠 | 産業構造転換枠 | 成長枠 | グリーン成長枠 | サプライチェーン強靭化枠 | |||||
エントリー | スタンダード | ||||||||||
対象 | 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な事業者 | 業況が厳しい事業者や 事業再生に取り組む事業者、原油価格・物価高騰等の影響を受ける事業者 | 国内市場縮小等 の構造的な課題 に直面している業 種・業態の事業 者 | 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者 | 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者 | 海外で製造する部品等の国内回帰を進め、 国内サプライチェーンの強靱化及び地域産 業の活性化に資する取組を行う事業者 | |||||
補助上限 | 最大1,500万円 | 最大3,000万円 | 最大7,000万円 | 最大7,000万円 | 最大 8,000万円 (中堅1億円) | 1億円 (中堅1.5億円) | 最大 5億円 | ||||
補助率 | 3/4 | 2/3 (一部3/4) | 2/3 | 1/2(大規模賃上げ達成で2/3へ引上げ) 【大規模賃上げ要件】 事業終了時点で①給与支給総額+6%以上、 ②事業場内最低賃金+45円 | 1/2 |
出典:経済産業省「事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要」(2023年5月時点)
第10回事業再構築補助金から新たに「産業構造転換枠」、「成長枠」、「サプライチェーン強靱化枠」が新設され、事業に合った補助金を申請することが可能になりました。
また、補助金の支給額が増額されており、より充実した支援を受けることができます。
しかし、最新の第11回事業再構築補助金においては「サプライチェーン強靱化枠」の公募はありませんのでご注意ください。
申請前の流れ
事業再構築補助金を申請する前に、以下の4点について準備しましょう。
- gBizIDを取得する
- 補助金申請をする
- 交付申請をする
- 精算払請求書を提出する
gBizIDを取得する
事業再構築補助金を申請するには、gBizIDが必要です。
gBizIDは、国が提供するサービス利用者証明書と同様の認証機能を持つIDで、申請者の認証を行います。
gBizIDの取得方法は以下の通りです。
- 事前に、法人番号を取得する
- 経済産業省のgBizIDポータルサイトにアクセスし、必要な情報を入力する
- 認証書をダウンロードして、gBizIDを取得する
補助金申請をする
事業再構築補助金を申請するためには、事業再構築補助金の公募要項に基づいて、必要な書類を用意し、申請書を提出する必要があります。
申請に必要な書類には、以下のものがあります。
- 申請書
- 事業者情報の開示書
- 事業計画書
- 資金収支計画書
- 最近1年分の財務諸表
- 納税証明書等
交付申請をする
補助金申請が承認された場合、交付申請を行います。
交付申請には、以下の書類が必要です。
- 交付申請書
- 精算払請求
- 事業者情報の開示書
- 竣工証明書
- 請求書
精算払請求書を提出する
交付申請が承認された後、事業者は、事業計画書等に基づく費用の実績を示した精算払請求書を提出します。
提出期限までに必要書類を提出することが必要です。
事業再構築補助金の入金までの流れ
事業再構築補助金が交付されるまでの流れを説明します。
- 事業者からの申請書類の提出
- 申請書類の審査
- 交付申請の審査
- 精算払請求書の提出
- 入金
事業者からの申請書類の提出
事業者は、事業再構築補助金の申請書類を作成し、所定の手続きを経て提出します。
申請書類には、事業計画や資金需要の詳細などが含まれます。
正確かつ適切な情報の提供が求められますので、注意が必要です。
申請書類の審査
提出された申請書類は、審査が行われます。
審査の内容は、以下の通りです。
- 必要書類が揃っているか確認
- 法令に違反していないか確認
- 補助金の支給対象に該当するか確認
交付申請の審査
事業者から交付申請が行われた場合、交付申請の審査が行われます。
審査の内容は、以下の通りです。
- 交付申請内容が正しいか確認
- 交付申請が適切か確認
- 補助金の支給決定をする
精算払請求書の提出
補助金の支給期間が終了した後、事業者は精算払請求書を提出します。
この精算払請求書には、補助金の支給に関する詳細な情報や支払いを受ける口座情報などが含まれます。
適切な書類の提出が行われた後、補助金の入金手続きが行われます。
入金
精算払請求書の審査が行われた後、事業者の指定口座に補助金が入金されます。
以上が、事業再構築補助金が交付されるまでの流れです。
第11回事業再構築補助金のポイント
第11回事業再構築補助金において、ポイントとなる情報を5つにまとめました。
- 補助金の支給額が増額
- 緊急事態宣言特別枠が設けられる
- 雇用調整助成金との併用が可能に
- 全国規模の中小企業が対象となる
- 対象となる補助金が多岐にわたる
1. 補助金の支給額が増額
第11回事業再構築補助金では、第10回と同様に、補助金の支給額がそれまでよりも増額されています。
この増額された支給額は、事業再構築のための資金として活用されます。
経済的な困難に直面している企業にとって、より充実した支援が期待できるポイントです。
2. 緊急事態宣言特別枠が設けられる
第11回事業再構築補助金では、緊急事態宣言下にある企業に対して特別枠が設けられています。
この特別枠では、補助金の支給額が増額され、より迅速な支援が行われます。
緊急事態宣言による経済的な影響を受けている企業は、特別枠の補助金を活用することで効果的な事業再構築が可能です。
3. 雇用調整助成金との併用が可能に
第11回事業再構築補助金では、雇用調整助成金との併用が可能です。
雇用調整助成金は従業員の雇用維持を支援するための制度であり、事業再構築補助金と併用することでより総合的な支援を受けることができます。
企業は経済的な困難に対して、補助金と助成金の両方を活用することで事業の持続性を高めることができます。
4. 全国規模の中小企業が対象となる
第11回事業再構築補助金は、全国規模の中小企業を対象としています。
地域に関係なく、日本全国の中小企業が補助金の申請対象となるため、多くの企業が支援を受けることができます。
これにより、地域間の格差を縮小し、経済の活性化が期待されます。
5. 対象となる補助金が多岐にわたる
第11回事業再構築補助金では、対象となる補助金が多岐にわたります。
例えば、生産性向上補助金やIT導入補助金など、様々な補助金が設けられています。
これにより、企業の特性やニーズに応じた支援策を受けることができます。
但し第10回で新設された「サプライチェーン強靱化枠」については、第11回での公募はありません。
補助金の多様性は、企業の成長や事業の持続性を支える重要な要素となります。
まとめ
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業の経営再建を支援するための補助金です。
第10回公募以降、補助金の支給額が増額されたり、緊急事態宣言特別枠が設けられたりと、従来よりもさらに充実した内容が盛り込まれています。
申請前には、gBizIDの取得や補助金申請、交付申請の提出が必要です。
申請後は、申請書類の審査や交付申請の審査を経て、入金までの手続きが必要です。
ポイントとしては、補助金の支給額が増額されたことや、緊急事態宣言特別枠が設けられたこと、雇用調整助成金との併用が可能になったこと、全国規模の中小企業が対象となったこと、対象となる補助金が多岐にわたることが挙げられます。
事業再構築補助金を上手に活用することで、中小企業の経営再建を支援し、困難な時期を乗り切ることができます。