受託開発とは?
受託開発とは、特定の企業がほかの企業から特別なシステムの構築を依頼され、業務を受けることをいいます。
開発を行う企業は、ソフトウェア設計やデータベースの管理、特定のプログラミング言語の技術などの専門的な技術力と知識が必要です。
受託開発の流れ
受託開発の一連の流れは次のようになります。
- 開発を受ける企業と頼む企業がミーティングをし、具体的な要望や必要なシステムの詳細な仕様を詰める。
- 開発を受ける企業が得た情報を元に、システム設計を行う。
- 設計の終了後、具体的な開発作業に移る。
- プログラミング言語を用いてシステムが作られる。
- 開発が完了すれば、開発を頼んだ側に納品する。
- システムの保守やサポートを行うことがある。
受託開発のメリットとデメリット
受託開発には、メリットとデメリットが存在します。
メリットには、以下のようなものがあります。
- 開発を受ける側の専門的な知識を利用できる。
- 開発全体は受注をした企業が行うため、開発を依頼した企業は、時間とリソースを節約できる。
- 新しい技術の導入やスキルの更新は開発を受ける企業が対応するため、開発を頼む企業はその手間を省くことができる。
一方で、デメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 開発全体を開発を受ける企業に任せるため、開発プロセスへのコントロールが難しくなる。
- もし品質に不満があったとしても、契約上、開発を受ける企業の変更が難しい場合がある。
- 開発を受注する企業と開発を依頼する企業の間でコミュニケーションが不足すると、期待していたシステムと違うものが出来上がる恐れがある。
受託開発は、開発を頼む企業が時間とリソースを節約できる一方で、品質管理やコミュニケーションに課題が出る恐れがあります。
このようなメリットとデメリットを踏まえ、適切な開発企業を選ぶことが重要です。
受託開発・SES契約・開発委託の違い
受託開発・SES契約・開発委託の違いを紹介します。
- 受託開発
- SES契約
- 開発委託
受託開発
受託開発は、企業が特定のITソリューションの作成を専門家に委託することを言います。
ソフトウェアやWebアプリ、モバイルアプリなど、開発が必要なプロダクトはさまざまです。
受託開発の特徴として、以下のような点が挙げられます。
- 全ての開発を専門家が担当。
- 必要なリソースや技術的な知識が不足している企業にとって、全体の開発プロセスを委託できることは大きなメリットである。
- 開発中に問題が発生した場合、解決する責任は開発を受ける企業にある。
例えば、新しいWebサイトを作成したい企業が、デザインと実装を専門的なWeb開発会社に依頼する場合、これを受託開発といいます。
SES契約
SES契約(システムエンジニアリングサービス契約)は、特定の技術的なスキルを持つエンジニアを企業が一定期間雇用することを指します。
SES契約の特徴は以下の通りです。
- 開発プロジェクトの特定の部分に対して専門的な技術力を提供することができる。
- プロジェクト全体を委託するのではなく、特定のエリアの開発を専門家に任せることができる。
- SES契約では、企業が開発プロセスをより直接的にコントロールできる。
例えば、ある企業が特定のデータベースの専門知識を必要としている場合、エンジニアをSES契約で雇うことができます。
エンジニアは企業の一員として働き、データベースに関連する開発作業を行います。
開発委託
開発委託は、企業が開発業務全体を外部の開発企業に依頼する方法を指します。
開発委託の特徴は以下の通りです。
- 開発全体を外部の専門家に任せることができる。
- 業務に関する深い専門知識や大きな開発チームが必要ないため、開発コストを削減できる。
- 責任の範囲が明確であり、開発が計画通りに進まない場合でも、修正や対応の責任は開発業者にある。
具体例としては、新しい業務管理システムを導入したい企業が、設計から実装、テスト、導入までの一連の業務を外部の開発会社に依頼するケースがあります。
受託開発のメリット
受託開発のメリットを4つ紹介します。
- 複雑なシステムも構築可能
- 開発の工数を削減できる
- 予算設計がしやすい
- 自社の業務にシステムを最適化できる
複雑なシステムも構築可能
受託開発のメリットは、高度で複雑なシステムも作り上げることが可能です。
開発業者はその専門知識を生かして、難しい課題に対しても最適な解決策を見つけることができます。
以下がその特徴になります。
- 専門性が高い開発者によって、技術がなくても開発ができる。
- 複雑な要件でも、適切な技術と経験を活かして問題を解決する。
- 複数のシステムやデータベースと連携したシステムの構築が可能である。
具体例として、医療業界での電子カルテシステムの開発が挙げられます。
電子カルテシステムは、患者情報を管理し、医師や看護師が患者の情報に素早くアクセスできるようにするものです。
しかし開発は非常に複雑で、法律の知識や医療の知識や情報技術の知識が必要となります。
これを受託開発に委ねることで、効率的で信頼性の高いシステムを開発することが可能です。
開発の工数を削減できる
メリットの2つ目は、開発工数が短縮です。
開発を専門とする業者に委託することで、自社で開発するよりも効率よくプロジェクトを進めることができます。
以下がその特徴です。
- 開発を専門とする企業は、適切な開発ツールや開発手法を活用する。
- 専門的な知識や技術を持つエンジニアがそろっているため、開発工数を効率的に管理できる。
- プロジェクト管理も外部の業者が担当するため、社内のリソースをほかの業務に割り当てられる。
具体例として、ある企業が新たなWebサイトを構築する場合、Web開発は多くの専門知識を必要とするため、社内で適切な人材をそろえることは難しいかもしれません。
しかし作業を受託開発に委ねることで、社内のエンジニアがほかの業務に専念することができるため、全体の作業効率を上げることが可能になります。
予算設計がしやすい
3つ目のメリットは、予算設計がしやすいことです。
受託開発を行う際には、最初に全体の仕事の量と対価を決定するのが一般的です。
以下に特徴を説明します。
- 複数の開発企業から見積もりを取ることで、予算内で最も適切な企業を選ぶことができる。
- 開発コストは、開発会社と合意された金額で決まるので、予想外の出費を減らせる。
- 委託先がプロジェクトの進行状況を定期的に報告することにより、コストパフォーマンスを継続的にチェックすることができる。
具体例を挙げると、新たなシステムを開発するための予算が決まっている場合、範囲内で最も効果的なソリューションを提供できる開発会社を選べます。
これにより、会社全体の予算管理が容易になり、より効率的な経営を行うことが可能です。
自社の業務にシステムを最適化できる
4つ目のメリットは、自社の業務に最も適したシステムを構築できることです。
主なポイントを以下にまとめます。
- 委託先の開発企業と協働することで、自社のビジネスモデルや業務フローに合ったシステムを作成できる。
- 業務の効率化や業績向上を具体的に目指せる。
- 長期的に見て、自社の業務プロセスを改善できる。
例えば、特定の業種に特化した独自の業務フローがある企業は、フローに合わせたシステムを作成することで、業務効率を大幅に向上させることが可能です。
これは、一般的なシステムでは実現できない特殊な要求に、対応できる大きなメリットといえます。
受託開発のデメリット
受託開発のデメリットを2つ紹介します。
- 保守・運用の管理が必要
- 開発コストが高い
保守・運用の管理が必要
受託開発には、さまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
そのデメリットが、システムの保守や運用に関する管理が必要であるという点です。
デメリットには、次のような課題が発生します。
- 開発後のシステムの更新や修正は、原則として委託先に依頼する必要があるため、時間や費用がかかる恐れがある。
- 自社でシステムの運用や保守を行う場合、専門的な知識やスキルが必要になる。
具体例を出すと、一部のシステムに問題が発生した場合、解決するためには、再度開発会社に依頼をする必要があります。
このとき、修正が迅速に対応されるか、どの程度の費用が発生するかは、開発会社によります。
開発コストが高い
2つ目のデメリットは、開発費用が高額になる恐れがあることです。
以下に原因を挙げます。
- カスタムメイドのシステム開発は、パッケージソフトウェアと比較して、開発期間や必要なリソースが多くなることが大半であり、開発費用が高くなる。
- システムのスケールが大きくなればなるほど、複雑さも増すため、コストも上昇する。
例えば、特殊な機能を持つシステムを開発するためには、設計や実装に専門的な知識と経験が必要です。
これには時間とコストがかかり、開発費用が高くなります。
また、システムの規模が大きくなると、複雑さも増すため、設計や開発、テストにかかる時間と費用も増大します。
SES契約のメリット
SES契約のメリットを3つ紹介します。
- 必要な労力を確保しやすい
- 人材育成のコストを省ける
- 仕様変更に対応しやすい
必要な労力を確保しやすい
SES契約のメリットは専門的な技術や知識を持つ人材を確保しやすいことです。
以下にその理由を挙げます。
- SES契約は、即戦力となる専門家をすぐに採用できる方法で、自社で採用する場合に比べ、迅速に必要な人材を確保できる。
- 特定のプロジェクトや期間限定で必要な専門知識を持つ人材を、効率よく確保できる。
例えば、新たな情報システムの導入に専門家が必要となった場合、自社で採用するよりも、SES契約によって人材を確保する方が迅速です。
さらに、プロジェクトが完了した後は、その人材を解放することも簡単です。
人材育成のコストを省ける
2つ目のメリットは、人材育成にかかる時間と費用を節約できることです。
具体的なメリットは以下の通りです。
- SES契約では、すでにスキルと経験を持つ人材を確保できるため、新人研修やスキルアップのための研修が不要。
- 短期間でのスキルアップが求められるプロジェクトでは、特に有効。
具体的には、ある特殊な技術を必要とするプロジェクトがあり、新たに技術を学ぶための時間と費用が必要となる場合があります。
しかしSES契約により、技術をすでに持つ人材を確保することで、研修費用や時間を節約できます。
仕様変更に対応しやすい
3つ目のメリットは、業務の仕様変更に対応しやすいということです。
以下に、メリットについて説明します。
- SES契約では、必要なスキルや人数を柔軟に調整できるので、プロジェクトの規模や必要なスキルが変われば、都度契約内容を変更できる。
- 特定の期間だけ必要な人材を確保できるため、業務量が一時的に増える場合や、新たなスキルが必要になった場合でも対応できる。
例えば、ソフトウェア開発プロジェクトが途中で仕様変更となった場合、新たに必要となったスキルを持つ人材をSES契約で追加できれば、プロジェクトをスムーズに進行できます。
このように、SES契約は変化に対応しやすいというメリットがあります。
SES契約のデメリット
SES契約のデメリットを3つ紹介します。
- 直接業務の指示を出せない
- 帰属意識を持ってもらえな
- 情報漏洩のリスクがある
直接業務の指示を出せない
SES契約には、メリットが多い反面、デメリットも存在します。
そのデメリットは、直接業務の指示が出せないことです。
具体的な問題点は以下のようになります。
- SES契約では、人材の借り手側が直接業務の指示を出すことは法的に認められていないため、作業の進行具合を詳細にコントロールすることが困難である。
- 具体的な作業方法や進行スピードについて、自社の都合に合わせることが難しいという問題もある。
例えば、新たな業務を開始する際に、自社の作業フローや独自の方法を指導したい場合でも、その全てを直接伝えることはできません。
その結果、作業効率が落ちることもあります。
帰属意識を持ってもらえない
SES契約のデメリットの2つ目は、帰属意識を持ってもらうことが難しいという点です。
その理由には以下のようなものがあります。
- SES契約の人材は一時的に借りられるため、自社に対する帰属意識を持つのが困難である。
- 自社の文化や価値観を共有することが難しく、チームの一体感を持つことも困難である。
例えば、自社のビジョンに共感し、長期的な目標に向かって一緒に働いてくれるような人材を育成することは、SES契約では厳しいものがあります。
そのため、企業文化の維持や長期的な人材育成の視点から、SES契約には課題があると言えます。
情報漏洩のリスクがある
SES契約の3つ目のデメリットには、情報漏洩のリスクがあります。
その主な理由は以下の通りです。
- SES契約では、企業の機密情報に接する機会があるため、情報漏洩のリスクが増大する。
- 契約が終了した後の情報はコントロールが難しくなる。
例えば、新製品の開発情報や独自の技術、販売戦略など、企業の競争力に直結する重要な情報が外部に漏れる恐れがあります。
また、契約終了後の情報管理も課題となるため、情報管理体制を強化し、人材との契約に際しては厳格な秘密保持契約を結ぶなどの対策が必要です。
受託開発の契約形態は?
受託開発とは、特定のシステムやソフトウェアを開発するために、外部の専門家や組織に開発を依頼する形態を指します。
契約形態には以下のような種類があります。
固定価格契約(FP契約)
開始前に作業内容や納期、価格を明確に決定する契約形態です。納期や価格が固定されているため、予算管理が容易ですが、変更に対しては柔軟性に欠けるというデメリットがあります。
時間給契約(TM契約)
作業時間に応じて費用が発生する契約形態です。作業内容や期間が不明確な場合や途中で仕様変更が予想される場合に適しています。しかし、コストが予定外に増えるリスクがあります。
成果物報酬契約
作業結果に対して報酬を支払う契約形態です。具体的な成果を期待する場合に適しています。
ただし、成果の定義や評価基準を明確にする事が必要です。
これらの契約形態には、それぞれ特徴とメリット、デメリットがあります。
適切な契約形態を選ぶためには、プロジェクトの目的や期間、予算、リスクなどを総合的に考慮する必要があるからです。
例えば、予算が厳格で、作業範囲が明確に決まっている場合は固定価格契約が適しています。
一方で、プロジェクトの途中で要件が変わる可能性がある場合は、時間給契約が良い選択です。
また、具体的な成果に対して報酬を支払いたい場合は、成果物報酬契約が適しています。
以上のことを考慮し、受託開発の契約形態を選ぶことが重要です。
そのためには、開発の目的や要件、リスクなどを明確に理解し、適切な契約形態を選択する必要があります。
請負契約と準委任契約、労働者派遣契約の違いは?
請負契約と準委任契約、労働者派遣契約の違いと支払い方法を紹介します。
- 契約不適合責任
- 指揮命令権
- 完成責任
- 支払い方法
請負契約 | 準委任契約 | 労働者派遣契約 | |
契約不適合責任者 | あり | なし | なし |
指揮命令権 | 受注側 | 受注側 | 受注側 |
完成責任 | あり | なし | なし |
支払い方法 | 一括 | 一定時間ごと | 一定時間ごと |
契約不適合責任
契約不適合責任とは、製品やサービスが契約に合っていない場合、その責任を問うことです。
請負契約では、契約に合った結果を提供することが期待されます。
したがって、納品物が契約内容に適合しない場合、請負人が責任を負うこととなります。
一方、準委任契約では、発注者の指示に従い作業を行うことが必要です。
したがって、作業結果が契約内容に適合しない場合でも、受託者が指示に従った限り、一般的に契約不適合責任は問われません。
労働者派遣契約では、派遣元企業が派遣先企業に人材を提供します。
そのため、派遣元企業は派遣先企業の指導・指揮の下で行われる作業結果に対する責任を基本的に負わないとされています。
指揮命令権
指揮命令権とは、仕事の進行や内容について指示・命令を出す権限を指します。
請負契約では、指揮命令権は基本的に請負人にあり、発注者は結果のみを求めます。
準委任契約では、指揮命令権は発注者が持つとされ、発注者は作業の進行や詳細な内容について指示を出すことが可能です。
労働者派遣契約では、派遣先企業が指揮命令権を有します。
そのため、派遣先企業は派遣元企業から提供された労働者に対して、直接指示を出すことが可能です。
完成責任
完成責任とは、納品物や成果物が要求される品質、内容であるという責任を指すものです。
請負契約では、完成責任は請負人にあり、要求された成果を達成できない場合、請負人は責任を負うことになります。
一方、準委任契約では、受託者は業務遂行に最善を尽くすことが求められますが、その結果についての完成責任は一般的には問われません。
労働者派遣契約では、派遣元企業は人材を提供しますが、派遣先企業が指導・指揮するため、派遣元企業が完成責任を負うことはありません。
支払い方法
支払い方法についても、契約形態によって違いがあります。
請負契約の場合、納品された成果物の品質や内容が契約に適合しているかが評価の基準となるので、支払いは基本的に成果物の納品後に行われます。
準委任契約では、業務遂行の労力に対する報酬が支払われるため、成果物の品質や内容に関わらず、定期的な支払いが行われることが一般的です。
労働者派遣契約では、派遣元企業が派遣先企業から人材の提供に対する報酬を受け取ります。
この支払いは、一般的に派遣労働者の労働時間や労働日数に基づいて計算されます。
受託開発でどの契約形態を選ぶべきか
受託開発での契約形態選びは、その取引の性質や、受け入れ側と委託側の期待により異なります。
まず、結果を求めるか、過程を重視するかを考えます。
達成すべき成果が明確に定義可能で、その結果だけを求めるのであれば、請負契約が最適です。
一方、手続きや過程が重要で、特定の結果を約束することが難しい場合は、準委任契約が適しているでしょう。
また、受託者が専門知識を持つ専門家である場合、その技術や知識を活用したい場合、準委任契約が良い選択です。
その一方で、業務を細分化し、時間単位で人材を使いたい場合は、労働者派遣契約が適しています。
次に、リスク管理も重要な要素です。
結果に対する責任を受託者に委ねたいのであれば、請負契約が最適です。
一方、業務の進行を自社で管理し、リスクを自社で負担することが可能であれば、労働者派遣契約を選ぶことも考えられます。
また、コスト面も考慮しなければなりません。
請負契約では、成果物に対する報酬が支払われるので、成果物の品質や規模が変われば、費用も変動します。
一方、労働者派遣契約では、時間や日数に応じて人材を利用できるため、コスト管理が簡単です。
これらの要素を総合的に考慮し、受託開発の目的や要件に最適な契約形態を選択することが必要です。
それぞれの契約形態にはメリット、デメリットがあるので、自社のニーズに合わせて適切な選択を行いましょう。
受託開発の流れ
受託開発の流れを11個に分けて紹介します。
- 開発会社を選定する
- 開発会社に依頼する
- 要求定義
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 実装
- 単体テスト
- 統合テスト
- 総合テスト
- システムの完成
開発会社を選定する
まずは、業務を受託する会社を見つけるところからスタートです。
いくつかの候補をリストアップしたら、その会社の信頼性や能力をチェックします。
評判や口コミを調査し、過去のプロジェクトやクライアントの評価を考慮に入れ、その上で、各会社の特性を理解することが必要です。
例えば、特定の技術や業界に強いことや対応力がある、柔軟性があるなどの特性を見つけることが可能です。
これらの特性が自社のプロジェクトにマッチしているか確認します。
また、費用対効果も重要な選定基準となり、予算内で最高の成果を得られる会社を選ぶことが求められます。
開発会社に依頼する
開発会社が選定されたら、次に企業に業務を依頼します。
業務内容や期待する結果を明確に伝えることが必要なほか、プロジェクトのスケジュールや期限、報酬の支払い方法など、詳細な契約条件を決定します。
これらの情報は、契約書に明記され、双方が同意した上で業務が開始されるのがポイントです。
業務開始後は、定期的に進行状況を確認し、必要なフィードバックを提供します。
このようにして、受託開発のプロジェクトは推進されていきます。
要求定義
開発会社に依頼したら、要求定義と呼ばれる工程に移ります。
要求定義とは、開発を依頼する企業が何を求めているのか、そのニーズを理解し、明確にすることです。
また、クライアントとのミーティングを重ね、ビジネスの目標や問題点を探り、顧客が目指す成果や、開発によって達成したい具体的な効果を聞き出します。
これらの情報を基に、クライアントの求めるものを文書化します。
このフェーズでは、クライアントとのコミュニケーションが鍵です。
十分な理解がなければ、開発の方向性がずれ、最終的にクライアントの期待に沿わない結果を生む恐れがあります。
要件定義
要件定義は、要求定義の次のステップで、実現するためにどのような機能や仕様が必要かなのかを決定する作業です。
まず、具体的な機能や仕様を洗い出す必要があります。
例えば、アプリ開発の場合、必要な画面の一覧やそれぞれの画面で行う操作、表示する情報などです。
それらを元に、ソフトウェアの振る舞いや性能目標など、システム全体の要求を詳細に定義し、仕様書を作ります。
設計や開発、テストなど、開発工程全体を通じて参照される重要な文書で、受託開発の成功を左右する要素の一つです。
基本設計
基本設計の段階では、要件定義で決定されたシステムの機能や仕様を、具体的なソフトウェア設計に落とし込む作業が行われます。
システム全体の構成や動作の流れを設計するシステムのアーキテクチャや主要なデータフローなどです。
そして、重要な処理のアルゴリズムを定義します。
具体的なコードは、この時点では書きません。
しかし、処理の大まかな流れを決定します。
このフェーズの目標は、システムの大枠を理解し、全体像を把握することです。
詳細設計
次に行うのは、詳細設計です。
ここでは、基本設計で決めた内容をさらに具体化し、実際のプログラムを作成するための詳細な設計を行います。
また、基本設計で定めた各機能の詳細な動作や処理の流れを設計し、データベースの詳細な設計も作業の一環です。
これには、テーブル構造やリレーションシップ、インデックスなどの設定が含まれます。
また、エラーハンドリングや例外処理などの詳細な仕様もこの段階で定めます。
実装
実装では、具体的なプログラムを作成します。
ここで重要なのは、詳細設計で定義された設計通りにプログラムを構築することです。
- 具体的なコーディング作業をし、プログラムを記述する。
- プログラムの記述が終わったら、単純な手動テストや自動化されたテストを含んだ動作の確認をする。
このステップでは、実際にシステムの動作を確認できるプログラムが作成されます。
単体テスト
次に、単体テストが行われます。
これは、作成された個々の機能が正しく動作することを確認するテストです。
- 各機能が正常な操作だけでなく、エラーや例外が正しく処理されるかも含めて、正しく動作するか確認する。
- 単体テストが完了したら、後のステップで問題が発生したときに、原因を特定するための重要な情報となるよう、テスト結果を文書化する。
統合テスト
統合テストでは、個々に作成された部品が適切に連携するかを確認します。
- 互いに通信が可能であるか、または依存関係が適切に機能するかが重要なため、部品ごとの連携を確認する。問題が発生した場合、詳細なデバッグ作業を含め、問題がどこから来ているのかを特定する。
総合テスト
総合テストでは、全体のシステムが期待通りに動作するかを確認します。
- 全ての機能が互いに正しく連携して動作するか、及び全てのユーザインターフェースが適切に機能するかを含め、システム全体が正しく動作するかを確認する。
- システム全体の性能問題や予期せぬエラー条件などを含む、これまでのテストで見つけられなかった問題を見つける。
以上の統合テストと総合テストを経て、開発されたシステムはリリースに向けて準備完了となります。
システムの完成
最後に、開発されたシステムの完成に向けて、細部のチェックと修正が行われます。
- 最後の確認と修正には、ユーザーが遭遇する可能性のある問題の特定と修正、システムのパフォーマンスの最終確認を含み、システムが正しく動作することを保証する。完成したシステムは、最終的にはエンドユーザーの手に渡り、目的に応じて使用される。
これらの手続きを経て、「受託開発の流れ」は終了します。
受託開発をする前に注意すべきこと
受託開発を始める前に、いくつかの点に注意を払う必要があります。
以下に詳細を説明します。
顧客との溝通
開発者が顧客のニーズを理解し、顧客が開発者の作業過程を理解できるようにすることは重要です。
例えば、定期的なミーティングを設けて、プロジェクトの進捗を共有が該当します。
明確な契約を結ぶ
作業の範囲や期間、費用など、開発の全てを明確にすることが求められます。これにより、後々の誤解やトラブルを避けることができます。
リソースの管理
必要な人員や時間、技術など、プロジェクトに必要な全てのリソースを事前に確認し、適切に割り当てることが必要です。
リスクの評価
リスクの評価をして問題を予測し、それに対する解決策を準備することは必要不可欠です。これには、開発遅延やコストの増加、技術的な問題などが含まれます。
技術選定
プロジェクトの要求を満たすための最適な技術を選択することが必要です。新しい技術を学ぶための時間とリソースがあるかも考慮に入れるべきです。
以上のような点に注意しながら、受託開発に臨むことで、スムーズなプロジェクトの達成が可能となります。
受託開発会社を選ぶポイント
受託開発会社を選ぶポイントを3つ紹介します。
- 開発実績
- 導入後のサポート
- 技術力
開発実績
システム開発を行う際、受託開発会社の選択は重要です。
その中で、重要な選択基準となるのが「開発実績」です。
会社の過去の開発事例を調査することが大切で、具体的なサービスや製品、それらがどのように顧客の問題を解決したかを把握する必要があります。
また、開発会社が扱った技術スタックもチェックすることも必要で、自社が必要とする技術を、過去に適切に扱っていたか確認することが重要になります。
開発会社の信頼性を判断するためには、成果物を直接評価することが最も有効的な方法です。
公開されている製品やサービスを試用し、品質を自分自身で確認することで、適切な受託開発会社を選択することができます。
導入後のサポート
選択基準としては「導入後のサポート」がしっかりされているかが挙げられます。
システム導入後もサポートが必要な場合が多く、システムの更新やユーザーの疑問解決、エラー対応など、さまざまなケースが考えられます。
そのため、受託開発会社が導入後も適切なサポートを提供するかを調査することが重要になります。
具体的には、サポートの範囲や対応時間、サポートの方法(電話、メール、対面等)などを確認することです。
また、ほかの顧客からのフィードバックや評価も参考になります。
具体的なサポート体験を共有している顧客の意見を参考にすることで、会社のサポート品質を把握することが可能です。
技術力
開発事業者の「技術力」は、その会社が提供できるソリューションの品質と範囲を決定します。
専門技術は、特定の課題を解決したり、特定の要求を満たすために不可欠なので、開発事業者がどの技術を使用し、技術をどの程度理解しているかを評価することが重要です。
具体的には、以下の要素があります。
技術スタック
会社が使用する主要な言語やフレームワーク、ライブラリなどを把握します。
技術的洞察力
新たな技術トレンドやベストプラクティスを理解しているかを確認します。
おすすめの受託開発会社3選
おすすめの受託開発会社を3つ紹介します。
- 株式会社QED
- Sky株式会社
- 株式会社万葉
株式会社QED
(引用:株式会社QED 2023年7月12日時点)
はじめに、ソフトウェア開発業界で有名な「株式会社QED」をご紹介します。
数多くのクライアントが高い評価をしています。
チームのスキルセット
QED社の開発者は、多様な技術領域に精通しているので、多岐にわたるプロジェクト要求に対応する能力があります。
導入後のフォロー
顧客のビジネスを長期的にサポートするための、堅実なサポート体制が整っています。
具体的な事例としては、大手Eコマースプラットフォームのバックエンドシステム改善を行い、業務効率を20%向上させたという実績があります。
Sky株式会社
(引用:Sky株式会社 2023年7月12日時点)
次に紹介するのは、「Sky株式会社」です。
こちらの会社は、モバイルアプリ開発に強みを持つ会社として知られています。
技術力
iOS、Android開発を得意とし、ユーザーエクスペリエンスを最優先に考えたアプリ開発を行います。
サポート
アプリリリース後のサポートも充実しており、アップデート対応や障害対応を迅速に行います。
具体的な事例としては、人気の健康管理アプリを開発し、ダウンロード数が100万回を突破したという実績があります。
株式会社万葉
(引用:株式会社万葉 2023年7月12日時点)
最後に「株式会社万葉」をご紹介します。
株式会社万葉は、特にWebアプリケーション開発に長けている企業として知られています。
技術スキル
フロントエンドからバックエンドまで、一貫した開発能力を持っています。
サポート力
プロジェクト完了後も丁寧なサポートを提供し、クライアントのビジネスを長期にわたりサポートします。
例としては、大手企業の社内管理システムの開発を担当し、その業務効率が25%改善したという成果があります。
以上、3つの高評価な受託開発会社をご紹介いたしました。
選定の際には、ご自身の要件に最も適した受託開発会社を選ぶことが重要です。
まとめ
本記事では、受託開発について、その定義から開発委託とSES契約との違い、メリットやデメリット、契約形態、そして実際の流れまで詳しく説明しました。
また、受託開発を行う上で注意すべき点や、会社を選択するポイント、さらにはおすすめの受託開発会社も紹介しました。
受託開発は、専門知識を持った開発者に開発を依頼し、業務効率を上げたり、新たなビジネス価値を生んだりするための重要な手段です。
適切な受託開発会社選びと、運用方法が成功の鍵となります。